第六夜 ネノネノコモネルネノコクノクニ
今日は一本釣りの旦那が何本も使う大仕掛けでした.
獲物は人間の女の子です.
遠い地層の彼方で釣り糸に力がかかると,
子分どもが勢いよく糸を曳きました.
落ちてきたのはたいそう可愛らしいお姫様でした.
泣いているお姫様の顔を,旦那はやわらかいお腹で拭いてやりながら言いました.
「怖かったかもしれませんが,お怪我はないでしょう?
あっしは一本釣りの旦那.危険な投網は使いません.」
四葉が自分の体を調べると,たしかにどこにも痛いところはありませんでした.
「どうもありがとう,旦那さん.」
「いやいや,今日のあっしは姫様をさらうのが仕事.お礼を言っちゃいけません.」
「それじゃあ,ここはどこですか.」
「世界の根元の大鼠,その子の創ったネノネノクニ.
根の子の子も寝る子の刻の国,つづめてネノクニと申します.」
(Zaurus MI-E21 + PrismPocket, 2003/4/12)
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