1-4.MI系ザウルスの「フォトメモリ/手書きメモ」
【MI-110を中心に.】
(本節のタイトル画はMI-110と手書きメモで描いたもの(1999年8月27日).MI-110の液晶画面は横に長いが,ここではザウルスを縦に持って絵を描いている.この頃にはザウルス以外の多くのPDAは縦に長い画面を持っていて,他のPDA絵描きさんたちの描く縦長の絵に僕が親しんでいたためである.)
▼MI系ザウルスの「フォトメモリ/手書きメモ」がPI系の「手書きメモ」と大きく異なるのは,以下のような点である.
1.多色
ザウルスポケットMI-106,MI-110は8段階の濃さのモノクロ,それ以外の機種は250色を使って,絵を描くことができる.ただし,当時のモノクロ液晶は今ほど視認性の高いものではなく,バックライトのないザウルスポケットでは階調の差を見分けるのが大変だった.結果として,白と黒だけを使うのが最も無難な書き方だった.
2.ツールパレット・プルダウンメニューの採用
操作体系にも大きな変更が加えられた.ペンや消しゴムなどのツール選択ボタンは,開閉可能なパレットの上に配置された(下図参照).ボタンがメイン画面からパレットへ移動した分,描ける絵の大きさは320x200という大きなものになった.また,ペンや消しゴムの太さはプルダウンメニューから選択するように変更された.
3.四角ツール(矩形塗りつぶし)の登場
PI系手書きメモのときに存在した網目ペンが無くなったため,MI系ザウルスの場合はペンを使うと必ず輪郭線は上塗りされる.その代わりに利用可能なものとして四角(矩形選択範囲塗りつぶし)ツールが登場し,これは輪郭を上塗りすることなく四角形の領域内を網目で塗りつぶすことができる.
一度に四角形の範囲しか塗りつぶせない点で使い勝手は悪かったが,10種類近い網目パターンを選択することができたため(下図参照),また別の楽しみがあった.四角形といっても小さくすれば点ほどの範囲になるし,頑張ればここで紹介しているような絵も描けたのである.どうやって頑張るかというと,取消(アンドゥ)機能で上手くゆくまで何度もやり直すのだが,この取消もPI系にはない機能だった.
1-5.その後の「フォトメモリ/手書きメモ」
【カラーポケット(MI-310),アイゲッティ(MI-P1,MI-P2,MI-P10),コミュニケーションパル(MT-200,MT-300),アイクルーズ(MI-EX1,MI-TR1),パワーザウルス(MI-C1),MI-E1,MI-L1,MI-E21】
▼さて,自分がユーザであったため古いMI系ザウルスの話を大きく取り扱ったが,実際にMI系のモノクロ手書きメモで絵を描きためた人は僕を含めて5人もいなかった.カラーに至っては何枚も絵を残したという方はおられなかったと思う.その後,アイゲッティやコミュニケーションパルが新たなザウルスユーザを開拓したときに,またぽつぽつとざう絵を描く人が増えてきた.アイゲッティ以降ではモノクロ液晶の視認性が上がったため,白黒8段階の階調を生かした絵を描く方もおられた.ただし,カラーポケット以降はツールの選択がパレットからプルダウンメニューへと変更され,ペンと消しゴムなどツールの持ち替えが煩雑になっている.
▼同機能は最新機種MI-E21においても「フォトメモリ」という名前で画面を縦向きに変更されたりしながらも残されている.ザウルスを買って帰ったその日,なんか色々機能があるなといじっている内に,こうした絵の描けるソフトが見つかるわけで,そこでなにげに落書きなど描いてしまうということが,今もどこかで行われているに違いない.
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