ずっと手書きをすることにこだわってきたので,タブレットPCには期待が大きいです.
マイクロソフトのインク文字は,大きなところでは,PocketPCのメモ,Microsoft Office OneNote,Windows Journal の3つで採用されていますが,それぞれユーザとして体験する感じが異なります.
▼PocketPCのメモのインク文字
・筆圧感知がないため太さ一定の機械的なストローク
(機種ごとの液晶の硬さによって書くために必要な力が大きく異なる.お店で試して回ったところ,現行機種ではe830が柔らかくて描きやすかった.)
・手書き文字認識(清書)はできないが,OneNoteへエクスポートすることにより可能である.ただし,OneNoteでは手書き時に認識率を上げるためのガイド枠を出すが,PocketPCのメモには本機能がないため,エクスポートした文字はあまりうまく認識できない.
・ちなみに海外版のメモ(Notes)では昔からインク文字を清書可能であることが,このへんを見ると判る.
http://www.wince.ne.jp/Review/Katsuo/PocketPC/p16.htm
・ストロークは一文字ごとにグループ化され,選択・コピー&ペースト等が可能
・インク文字は普通の文字同様,スタイラスでキャレットを移動して選択
・選択した文字はドラッグ&ドロップできない
▼OneNoteのインク文字
・筆圧感知機能が使えるならば,ヌキのある自然なストローク
・手書き文字認識可能
・ストロークは一文字ごとにグループ化され,選択・コピー&ペースト等が可能
・インク文字は普通の文字同様,マウスやキーボードでキャレットを移動して選択
・選択した文字をドラッグ&ドロップ可能
▼Journalのインク文字
・筆圧感知機能が使えるならば,ヌキのある自然なストローク
・手書き文字認識可能
・ストロークごとに選択・移動・削除可能
・投げ縄ツールで囲んで選択
・選択した文字をドラッグ&ドロップ可能
・文字というよりベクトルグラフィック的な操作
OneNoteはデスクトップPC,タブレットPC両方での利用が考えられているため,キーボードでも文字編集が可能な操作体系となっています.
JournalはタブレットPC専用であるため,ペンでぐるりと囲むだけで選択範囲を設定できるカジュアルな投げ縄ツールを中心とした操作体系となっています.dynabook M200の場合はペン側面のボタンを押している間は投げ縄ツールになるため,いちいちメニューから選ぶ必要がありません.また,一度書いた文字を投げ縄で自在に移動できるというのは,紙のメモではありえない配置の自由を与えてくれます.
PocketPCのメモは残念ながらどっちつかずの感じです.現在はOneNote寄りのインタフェースなので同じペン操作であるJournal寄りのインタフェースに変えるほうが良いように思いますが,A4の画面へ豪快に書きなぐりそれを好きに配置できるタブレットPCとは異なり,PDAというデバイスの制約は大きいようにも思います.手書き可能なメモ帳が欲しい人にとってはシステム手帳並の緻密な書き込みが可能でないと満たされないと思うのですが,解像度,精度,筆圧感知のどれをとっても,実現には遠く感じられます.
ちなみに以上のインク文字については,相互運用性は低いです.次の4つのパターンがあり,インク文字がインク文字のまま(つまり文字認識や編集ができる形で)移動できるのは,PocketPCからOneNoteへの一方通行のみです.
PocketPCのメモ(インク文字)⇒[ActiveSync]⇒OneNote(インク文字)
OneNote(インク文字)⇒[クリップボード]⇒Journal(編集できないベクトルオブジェクト)
OneNote(インク文字)⇒[Journal ノートライタ]⇒Journal(ビットマップ)
Journal(インク文字)⇒[クリップボード]⇒OneNote(編集できないベクトルオブジェクト)
インク文字にはとても期待していますが,まだまだこれからといった様子に見えます.
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